2021年12月12日現在、 スイスでは新型コロナウイルスに対する予防接種を受けるための条件は次のようになっています。
- 通常予防接種
- 12歳以上
- ブースター接種
- 16歳以上で2度めの予防接種から6ヶ月を経過
私と妻は6月に2度目の予防接種を終えているので近日中にブースター接種を受けられるようになりますが、 そろそろ冬休みに入るので日程を調整中。 スイスでは予防接種は州が管轄していますが、 冬休み中は居住地と別の州に滞在予定なので少し話がややこしくなる。
また5〜11歳の子供向け予防接種も認可されたため、 子どもたちも近く予防接種を受けられる予定です。 こちらはまだ州から公式アナウンスが出ていないので、 予防接種の場所(かかりつけの小児科医、予防接種センター、それとも巡回バスなどが学校に来て一斉接種を行うのか)や、 いつから予約可能になるのかなど不明点が多い。 実際に予防接種が始まるのは年明けかなという気がします。
スイスの予防接種認可プロセス
スイスでは予防接種が可能になるまでに、 次のステップを踏む必要があります。
Swissmedic による認可
Swissmedic はスイスにおける医薬品の認可・検査を担当する行政機関で、 日本の 医薬品医療機器総合機構 (PDMA) に相当します。
まずは製薬メーカーが予防接種の認可を申請し治験の結果など必要な情報を Swissmedic に提供、 Swissmedic の専門家がリスク・ベネフィットなどを検討した後に、 問題なければ認可されます。
12月12日現在、 12歳未満向けの予防接種に関しては ファイザー製の Cominarty が5〜11歳を対象に認可済み、 モデルナ製の Spikevax が6〜11歳向けに認可申請中 です。
予防接種に関する連邦委員会 (Ekif) による推奨
Swissmedic が予防接種を認可すると、 次にスイス連邦政府の 連邦保健局 (Bundesamt für Gesundheit; 通称 BAG) が管轄する独立専門家委員会 予防接種に関する連邦委員会 (Eidgenössische Kommission für Impffragen; 略称 Ekif) が、 政府の策定した予防接種の戦略・目的に基づいて予防接種の具体的な推奨方針を策定します。
たとえば、 感染が少ない状況下では、 感染すると重症化する可能性が高い高リスク者のみに予防接種を推奨したり、 感染が急速に広がっている状況下では、 本人の重症化リスクが低くても医療関係者には優先して予防接種を行うよう推奨したりします。
現在の推奨方針は Coronavirus: Covid-19-Impfung に記載されています。 12月12日現在、 11歳以下の子供への予防接種は推奨されていませんが、 先日の Swissmedic の認可を受けて、 今週中にファイザー製 Cominarty が11歳以下の子供に推奨される見込みです (参考:Ekif 委員長へのインタビュー記事)。
同様の機能は、 日本だと厚生労働省の 予防接種・ワクチン分科会 が担っています。
州政府による接種体制構築
連邦政府による公式な推奨が出ると、 それを実施するのは州政府の役目です。
新型コロナウイルスの予防接種のように短期間に多数の予防接種を行う場合、 ワクチンの搬送体制構築、 予防接種の予約プラットホームの提供、 予防接種センターの構築や移動式予防接種会場(バスなど)の手配などを行います。
なお州政府は連邦政府による推奨を100%そのまま実施するのではなく、 一定の範囲内で変更する裁量が認められています。 たとえばブースター接種の時期に関して、 連邦政府は2回目の接種完了後6ヶ月後を推奨していますが、 ザンクトガレン州は期間限定で5.5ヶ月後から接種可能にしています。
参考:Booster-Impfung schon nach 5,5 Monaten nach vollständiger Immunisierung möglich
ザンクトガレン州は大規模予防接種のために予防接種センター・臨時予防接種会場を設営しましたが、 現在は受入人数に多少余裕があるので、 既存の資源を有効活用するためにブースター接種の対象者を広げたようです。 予防接種センター・臨時予防接種会場は12月23日まで稼働予定なので、 それまでの期間限定措置です。