読書記録

日本語の書籍・論文

医師は最善を尽くしているか

医療における革新的進歩の事例を紹介しているが、どれも現場における観察・計測・改善が元になっている。

最善を尽くすとはどういうことなのか、治療成績が平凡な病院と優秀な病院で何が違うのか、専門家である医師と素人であり治療を必要とする患者の人間関係はどうあるべきか、伝染病と戦うというのはどういうことなのか。医療関係者でなくとも考えされられることや、汲み取れる教訓は多い。

具体的なエピソードの描写や論の展開が秀逸で、小説とノンフィクションとエッセイの最善の部分を足し合わせたような読み味。読み始めると面白くて止まらない。

ファクトフルネス

これも面白かった。Amazon のレビューを見れば、本の内容はわかると思うので省略。

私が世界の実像を全く理解していないことが良く分かった。読んだ人には分かる言い方だと「猿未満」でした。

英語教師が知っておきたい日本語のしくみ

外国語話者に日本語を教えている著者が、その経験を踏まえて英語・日本語の違いを解説。 日本語と英語で考え方が異なり、 勘違いしやすかったり直訳するとおかしなことになる項目を取り上げています。

子供がドイツ語・日本語の両方を学んでいく上で躓きそうな項目を把握する目的で購入しましたが、 その役には立ちそうです。

個人的には英語に関してはそれほど発見はありませんでしたが、 むしろ日本語の時制の扱いなどで気づきがありました。

外国語学習者の語彙学習における問題点

ネイティブ話者と外国語学習者で、 単語の理解の仕方にどのような際があるかを調べた論文。

結論の要約

単語は複数の意味を持ち、また原義から転用された比喩的な意味を持つ場合も多い。 ネイティブ話者は単語の意味を整然とした内部構造を持つものとして、いわば「面」で理解しているのに対して、 外国語学習者は異なる意味に対応する「点」の集合として覚えている。 また、それぞれの「点」のカバーする範囲が母国語の影響を受けて歪んでおり、 結果的にネイティブ話者であれば当然許容する用法でも不正だと感じたり、 逆にネイティブ話者にとってはありえない用法で用いることがある。

とはいえ外国語の学習初期段階では、 まずは代表的な語と使い方を数千程度覚えないことには話が始まらない。 このときには単語のすべての意味を調べている余裕はないので、 直面する文章の読解に必要なものだけ調べて覚えておく。

ただしある程度の語彙が身についた時点で、 代表的な単語については辞書を引き直し、 その語の意味項目を通して読んで単語のイメージを面として作り直す作業をしたほうが良いのかもしれない。

漫画

バンデット

武士道という概念が存在する以前の、むき出しの暴力を生業とする鎌倉武士たちが活躍する物語。登場人物が誰一人としてマトモではない。

まだまだ続きを書けそうな内容なので、続編を期待したい。

ドイツ語の書籍

Tom Gates : Krass cooles Kritzelzeug

8歳から14歳ぐらいの子供をターゲットとしたコミック小説。活字は使わず手書き文字で書かれており、文中に絵文字が入ったりコミック風に絵と吹き出しで書かれているページがあったりと、読みやすい作りになっている。

小学校に通う主人公の子供と、その家族や友達との間で起きる日常が描かれている。

主人公のトムが通う学校は明日から休暇。家に帰って両親にその話をしたら、なんと母親は休暇を1週間勘違いしていたことが判明。両親とも仕事をしているのに、子供をどうするかの計画がまったくできていない!

というところから話が始まり、トムの休暇中の生活が1日1章ずつ語られる。母親の職場に行ったり、叔父の家に行って従兄弟と遊んだり。そこで出てきた料理や遊び道具の作り方などが、章の間で解説されている。それを読んで、ひさしぶりに紙鉄砲を作って子供と一緒に鳴らしました。

Beast Quest 1: Ferno, Herr des Feuers

剣と魔法の物語。王国を守る6体の獣が悪の魔法使いに操られ、逆に王国に厄災をもたらしている。第1巻では、悪の魔法を打ち破る魔法の道具を託された主人公が、炎の主である竜「フェルノ」を解放するために旅をする。

奇を衒ったところはなく子供向けの正統派冒険活劇。もともと英語で、ドイツ語は翻訳ですね。すでに100冊以上刊行されている人気シリーズ。

知らない単語が頻出でした。記録を見ると1冊で160語ぐらい調べている。 いくつか抜粋。

ファンタジーや歴史ものでしか使わなそうなもの

  • der Knecht 家来
  • das Veließ 地下牢
  • der Mundschenk 献酌侍従

ビジネスや大学受験では優先順位が低いため、中級ドイツ語程度ではカバーされていない単語

  • aufstauen (水流・土砂などを)せきとめる
  • sich kauern うずくまる
  • die Benommenheight 思考麻痺、軽いめまい
  • abschütteln ふり落とす
  • anbringen (特定の箇所に)装着する
  • hochreißen (盾などを)ぐいと持ち上げる

こちらのカテゴリの単語は初見でも意味が予想できるものが多いので、読むだけならそこまで難しくはない。

aufstauen = 接頭辞 auf + Stau(渋滞) + 接尾辞 en(動詞化)

単語を覚えて能動的に使えるようにするのは暗記の手間がかかりますが、 やっておくと後で役に立ちそうです。