小学3年生の子供と読んでいた «Das geheime Dinoversum Xtra» シリーズの第1巻 «Auf der Fährte des T-Rex» を読了。
最近町に引っ越してきた恐竜好きの少年と地元の少年二人が、 恐竜のいた時代にタイムスリップしてしまい、 さまざまな恐竜に出会ったり肉食恐竜に追いかけられたり。
主人公は未知の恐竜に出会うと、 持ち歩いている携帯型コンピューターで恐竜の情報を調べるので、 そこで自然に読者は主人公と一緒に恐竜について学べるようになっています。
書名 | Das geheime Dinoversum Xtra - Auf der Faehrte des T-Rex |
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著者 | Rex Stone |
出版社 | Loewe Verlag GmbH |
ISBN | 978-3785587829 |
英語の «Dinosaur Cove» シリーズがオリジナル。 «Das geheime Dinoversum» が原書に近い翻訳で、 «Das geheime Dinoversum Xtra» はより低年齢向けの抄訳+カラーイラスト版。
ドイツ語
書籍の対象年齢が7歳からということで簡単だろうと思ったら、 意外と知らない単語が多かったです。 片っ端から Anki に登録。
一例ですが、たとえば次のような名詞は、 大人になってから外国語を学習するとなかなか出会いません。 通常の外国語学習教材だと生活や留学・就職で必要になる単語が優先されるので、 出てこない。
日本語 | ドイツ語 |
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鉤爪 | die Klaule |
裂肉歯 | der Reißzahn |
針葉樹 | die Konifere |
シダ(植物) | der Farn |
切り株 | der Baumstumpf |
肉片 | das Fleischfetzen |
針葉樹はもっと簡単な言い方として das Nadelholz, der Nadelbaum でも良いようです。 これだと Nadel(針)と木(Holz, Baum)の合成語なので覚えやすい。 広葉樹は das Laubholz, der Laubbaum。
針葉樹の die Konifere は英語だと conifer なので、 おそらく共通の祖先であるラテン語由来でしょうね。
あとは、動詞や形容詞も豊富です。
日本語 | ドイツ語 |
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なめる | an etwas(D) / über etwas(A) lecken |
(尻尾などを)上下にふる | mit etws(D) wippen / wedeln |
〜を容器に受ける | etwas(A) auffangen |
〜の縁に並ぶ | etwas(A) säumen |
用心深くのぞく | lugen |
〜の表面に掻き傷をつける | etwas(A) ritzen |
〜(人)に嫌悪を催させる | jemanden anwidern |
〜を一時中断する | in etwas (Dativ) innehalten |
柔らかくだらんとした | schlabb(e)rig |
強く訴えかける | eindringlich |
いたずらっぽく | spitzbübisch |
軽いものを振るという意味の wedeln は、 スキーの小回りターンのウェーデルンとして日本語に導入されています。 似た意味の wippen は名詞 die Wippe にすると、 遊具の「シーソー」になります。
auffangen は辞書を見てもピンときませんでしたが、 物語中で使われている場面を見返して腑に落ちました。
言語 | 文章 |
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ドイツ語 | Die lange Zunge des Dinosauriers fing jedes einzelne Tröpfen des stinkenden Safts auf. |
日本語 | 恐竜の長い舌が、その異臭のする樹液を一滴残らず掬い取った。 |
auffangen は auf(〜の上)と fangen(捕まえる)から構成される単語ですが、 ここでは恐竜が長い舌を使って果実から果汁を掬い取る場面で使われています。 舌が動いて、その上に果汁を集めて捕まえるイメージ。
独和辞典で「掬う」を引くと schöpfen が出てきますが、 これだと器とかスプーンのように硬いもの、 もしくは手を器状の形にして液体の中に入れるイメージなので、 舌を動かして巧みに液体を集め取るという感じではないです。
こういう日常のさりげない動作を描写する際には、 語彙力の差が如実に出ます。 辞書を引いても出てこないので、 外国語を読み聞きする分量を増やして単語のイメージを身体の中に作り上げていくしかない。